第125回 計算書類閲覧等請求及び会計帳簿閲覧等請求

 

 弁護士の内田です。

 

 

 暑くなってきましたね。自宅に観葉植物(フィカス・ウンベラータ)を置いているのですが、冬は凄まじい勢いで葉が落ち、夏になると凄まじい勢いで葉が生えてきます。

 植物の生命力はすごいです。

 

 動物と同様に、植物も世話をしてあげていると愛情が沸くもので、毎年、元気に育って欲しいと願っています。天井に達しない程度に。

 

 

 さて、本日のテーマは、「計算書類閲覧等請求及び会計帳簿閲覧等請求」です。

 

 中小企業は同族会社が多いですが、従業員や取引先なども出資していて代表者の親族ではない人たちが株主になっている場合もあります。このような場合、株式の管理については、かなり神経を使わなければなりません。

 株式=会社の支配権、だからです。

 

 「過半数を持たれなければ大丈夫なんでしょ?」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、株主には会社法上、様々な権利が認められています。1株を持っていれば行使できる「単独株主権」と一定の割合を持っていないと行使できない「少数株主権」に分けることができますが、これらの権利を駆使すれば会社に対してかなり圧力をかけることが可能になってしまいます。

 ですから、危険な人物、敵対的な人物に株式を持たれないよう、会社は十分に注意し、対策を講じておく必要があります。

 

 今日は、会社を攻めるための第一歩として使われる単独株主権である計算書類閲覧等請求と少数株主権である会計帳簿閲覧等請求について解説します。

 

 まず、計算書類閲覧等請求ですが、これは、決算書関係の書類を見せるように請求したり、コピーを交付したりするよう請求できる権利です。貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、株主資本等変動計算書(SS)、個別注記表、附属明細書などです。「決算書を見せろという権利」だと理解していただければ結構です。

 決算書類は、いわば日々の取引の積み重ねの結果を示したものに過ぎませんからそんなに細かい情報が載っているわけではなく、そんなに悪用の余地はありませんが、それでも、財務状況が悪いのか良いのか、原価はどのくらいなのか、主要な売上先・仕入先と見られる企業はどこなのか、などをある程度推知することができ、むやみに公にすべきものではありません。

 なお、あまり知られていませんが、これらの書類は「債権者」でも請求可能です(会社法第442条第3項)。お金を払えていない場合は開示を余儀なくされる、そうした意味で法律上はそれほど高い秘匿性が認められている書類ではありません。

 

 一方、「会計帳簿」は計算書類を作るための基礎となる帳簿類を意味し、仕訳日記帳や総勘定元帳などがこれに当たります。「計算書類」がいわば結果だけをオープンにするものであるのに対し、会計帳簿はその結果に至る過程をオープンにするものです。対象は「会計帳簿又はこれに関する資料」であるため、契約書や領収書なども対象になります。

 したがいまして、この請求を受けると、いつ、どこと、どんな取引をしていたのか、などをかなりの程度知られてしまうことになります。接待に使っている店や来店頻度なんかまで分かります(また、量がかなり多くなるので、事務も圧迫されます。)。敵意ある者がこの権利を行使すれば、会計帳簿等から得た情報を利用して取締役の解任を株主総会の議題として提案するなどといったことも発生します。

 

 このように会計帳簿とそれに関する資料は秘匿性が高いものですから、会計帳簿閲覧等請求権は、総株主(議決権のない株主を除く)の議決権の100分の3以上か発行済株式(自己株式を除く)の100分の3以上を有する株主しか行使できません。

 この3%という割合は非常に重要なので、株式管理に関わる方は覚えておきましょう。

 

 

 いかがだったでしょうか。

 

 今回は、ちょっと労務を離れて株主権に関するお話でした。

以上

 

 

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